人類學雜誌
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北海道に移住した樺太アイヌの形質人類学的研究
小浜 基次加藤 昌太良欠田 早苗
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1964 年 72 巻 1 号 p. 24-36

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抄録

樺太アイヌは、はじめ1875年に北海道に移住し、1905年に樺太に復帰、1945年にふたたび北海道に移住して今日に至っている。したがってその純血度を追求することは、はなはだ困難である。
現代樺太アイヌの形質のうちで原樺太アイヌの特徴として残されている形質は、顔高と鼻高の大きいことである。そのほかの諸特性は認めがたく、恐らくは混血によってその特性を失ったものであろう。
現代樺太アイヌの諸形質を総合すれば、北海道混血アイヌにもつとも近似する。体部は北海道純アイヌにやや近く、樺太和人とは遠いが、頭部、顔部は北海道純アイヌよりも和人に接近し、ギリヤーク、オロッコとはもつとも離れている。
この研究に協力された現地の方々に対し深甚の謝意を表する。

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