抄録
筋電図の周波数スペクトルの徐波化を指標とする筋疲労度測定の妥当性を検討した。その結果
1)周波数成分の変動の大きいこと,及び,筋長の増大による徐波化がともに疲労のいろいろな段階に認あられた。この事実は徐波成分の比率,或は,徐波化そのものを単純に疲労度の指標となし得ないことを示唆する。
2)疲労の進行とともにその比率が増加する周波数成分は筋長その他の条件で異るので,特定の周波数成分の比率の増大を指標とすることは妥当ではない。
3)疲労との関連が不明な周波数成分比率の小変動が徐波化の過程に認められた。
4)疲労に伴う筋電図の増加が収縮状態によって異るので周波数成分の変化の絶対量を指標とすることは疑問である。
5)異る被験筋,或は,被験者間の比較には筋長や電極の条件の統一を充分に考慮されねばならぬことが考察された。