抄録
冷水(0°C)中における手指の皮膚温反応を用い,水泳シーズン中の水泳者の水泳による冷水への適応について,一般者と比較考察された.実験は5月~10月の6か月間,延べ300名の大学生について行なわれた.著者らは,熱電対を用いて測定された皮膚温の動揺曲線の四要素について分析し,さらにこれらを得点化し,その合計点(Points)を用いて総合的に考察した結果,女子の水泳者は一般者に比べ8月には反応が低く,10月では逆に高くなる傾向が認あられ,男子の水泳者は一般者に比して7月に一時的に反応の低くなる傾向が認められた.Point Test の成績によれば,概して,男子の水泳者では水泳シーズンの初期に,女子の水泳者ではその末期にそれぞれ一般者とのあいだに反応の差がみられることから,これらの時期に水泳者がより適応に秀れた傾向があると推測される.また,一般に反応は,室温の上昇によって促進される傾向が認あられた.