本報告は,ニホンザル野生群の初冬における日周活動リズムを量的に解明しようとしたものである.調査対象群として,1960年以来餌づけされている高宕山第 I 群の第2次分裂群が選ばれた.この群れは,人間に慣れているうえに,完全に野生の生活を送っているので,調査対象として好適であると思われた.1970年12月における2週間の追跡調査の結果,(1)群れは,この時期に食物としてクズの堅果に主として依存し,(2)群れの1日の遊動距離は,地図上で0.8~2.1km(平均1.2km)であり,(3)一日に3度の主要な採食時間帯をもっていたことが明らかとなった.