表面筋電図のパワースペクトルの変動をみるために,等尺性収縮時の上腕二頭筋の双極表面筋電図の自己相関関数をフーリエ変換して,そのパワースペクトルを6~192Hz の周波数成分にわたって求めた。
いくらかの個人内および個人間変動はあるものの,上腕二頭筋の筋電図パワースペクトルはかなり一定したパターンを示した。右と左の上腕二頭筋の筋電図パワースペクトルの相違は個人間変動の幅のなかにはいった。収縮強度あるいは筋長を変化させても,筋電図パワースペクトルは一定の変化を示さなかった。以上のことから,電極条件を一定にすれば,少なくとも上腕二頭筋の双極表面筋電図のパワースペクトルは,被験者,左右,収縮強度あるいは筋長とかかわりなく,かなり一定したパターンを示すと考えられる。