抄録
BERGMANNの法則を実験的に検討する意味で40人の女子大学生に20項目の生体計測と3種の温度条件下(気温15°C,25°Cおよび40°C,相対湿度各50%,風速各18cm/sec)で6ケ所の皮膚温の測定を行った。気温25°Cにおける皮膚温相互間の相関は殆んどが有意で高い値を示したのに対して,気温15°Cでは殆んどが低く鮮やかな対比をなした。20の体計測値を主成分分析を利用して4つの主成分値に要約し,これを説明変量として体格の皮膚温への影響を多変量回帰モデルにより解析した。気温15°Cにおいてのみ5%の水準で有意な多変量回帰係数が得られた。重回帰分析をも併用することにより第1主成分と第4主成分が大腿部皮膚温に関連することが示され,寒冷環境下でのみBERGMANNの法測を支持する結果が得られた。