女子体育大学生において,呼吸周期を4ないし12秒の間で規定したときの,呼吸性心拍数変動RSAの振幅を,立位と臥位とについて比較した。1回換気量は,呼吸周期の延長につれてほぼ直線的に増加し,姿勢による差はなかった。
RSAの振幅を瞬時心拍数の変化として表わすと,短周期呼吸では臥位で大きく,長周期呼吸では逆に立位で大きかった。これは心拍数レベルの差によるみかけのちがいを含むが,1回換気量に対するRSA振幅の回帰の勾配が,立位で大きい傾向のあることも一部関与するとみられる。振幅を心拍間隔の変動でみると,長周期呼吸では姿勢差がなく,その平均心拍間隔に対する比率をとると姿勢差はさらに小さかった。