人類學雜誌
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女子中学•高校生のモアレ背面形状の生体学的研究
芦澤 玖美土橋 和子加藤 純代楠本 彩乃九鬼 種美
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1989 年 97 巻 1 号 p. 39-50

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抄録
平均年齢13.7歳の女子中学生142名と,平均年齢16.4歳の女子高校生113名の背面をモアレ撮影した.そのうち中学生60名,高校生68名については15項目(身長,上前腸棘高,上肢長,肩峰幅,胸郭幅,大転子幅,胸矢状径,胸囲,胴囲,腰囲,上腕囲,大腿囲,肩甲下皮脂厚,三頭筋皮脂厚,体重)の測定を行った.対性の項目は左を測定した.また皮脂厚の測定には Holtain キャリパーを使用し, TANNER(1962)に従って対数変換した.モアレ撮影には Fujinon Moire Camera FM-40を使用した.撮影後,左右の背面に7.5mm以上の高さ(奥行き)の差がある者は,あらかじめ資料から除いてある(これは中学生で15%,高校生で26%であった).背面モアレ•パターンの型分類および測定方法は芦澤ら(1984a;1985a)に等しい.結果は以下のとおりである.
1) モアレ•パターンは II high-thoracic 型が最も出現頻度が高く,中学生で85%,高校生で86%であった.
2) 背面最突出点と腰部陥凹点を結んだ線の長さ,高さ(奥行き),その線と後正中線のなす角度(背面角)には左右差も年齢差(中学生と高校生の間の)も認められなかった.
3) 背面角は正規分布することが確認された.
4) 背面モアレ•パターンが Type I あるいは TypeII と判定された者は,皮脂厚,ローラー示数,肥満示数,および全周径項目測定値から肥満者であることが確認された.
5) 背面モアレ測定値と身体計測値の主成分分析の結果,背中の厚さは PCI で全身的な太さと対峙し,背中の長さは PCII で背面角と対峙することが分かった.また全身的な長さに関する項目は PCIII でクラスターを形成した.
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