Anthropological Science (Japanese Series)
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原著論文
アイヌから検出された JC ウイルス DNA の系統解析
—アイヌの起源と多様性の解明へ向けて—
余郷 嘉明鄭 懐穎長谷川 政美杉本 智恵田中 新立本庄 健男小林 伸好太田 信隆北村 唯一
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2003 年 111 巻 1 号 p. 19-34

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抄録

JC ウイルス (JCV) DNA の系統解析によりアイヌの起源を解明することを目的として, 北海道の3地域(浦河, 白老, 旭川)に住むアイヌ30名から尿を採取した。尿から検出された JCV DNA (n = 13) は5つのゲノム型 (MY-b, MY-x, MX, EU-a/Arc, EU-c) に分類された。MY-b, EU-a/Arc, EU-cは過去に近隣の人類集団から検出されたが, MY-xとMXは今回初めてアイヌから検出された。得られた知見から, (1) 東北アジアから渡来した複数の人類集団が現代アイヌを築いたこと, (2) ヨーロッパ人に近縁の東北シベリア先住民の祖先集団が現代アイヌの中核を形成したこと, (3) 縄文人を形成した集団や新規な東北アジア系集団も現代アイヌの形成に寄与したことが示唆された。

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© 2003 日本人類学会
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