Anthropological Science (Japanese Series)
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シンポジウム特集:シンポジウム「初等中等教育で人類学をどう教えるか」
「生物基礎」をヒトの生物学で教える試み
山藤 旅聞
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2014 年 122 巻 1 号 p. 85-88

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抄録

平成24年度より高等学校では新学習指導要領に基づいた生物教育が始まっている。具体的には,全国の高校生の90%の履修が見込まれる「生物基礎」の内容は,生物の共通性と多様性について,(1)遺伝子とそのはたらき,(2)生物の体内環境の維持,(3)生物の多様性と生態系の3つの軸で教えるように改訂されている。本論では,この「生物基礎」の授業展開を「ヒトの生物学」を中心として展開する実践例を提案した。また,ヒトを中心とした進化の内容も伝えていくので,地球生態系の一員であるヒトとしての視点や,現在地球上に存在する人類はホモ・サピエンスの一属一種であり,「人種」は生物学的な概念ではないことを教えることができる。このような試みは,人類学的な視点に立った科学的倫理観を養う教育効果が期待できる。

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© 2014 日本人類学会
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