Anthropological Science (Japanese Series)
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原著論文
3次元デジタル復元に基づく白保4号頭蓋形態の予備的分析と顔貌の復元
河野 礼子岡崎 健治仲座 久宜徳嶺 里江片桐 千亜紀土肥 直美
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2018 年 126 巻 1 号 p. 15-36

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抄録

石垣島・白保竿根田原洞穴遺跡からは保存のよい4個体を含めて20個体近い更新世人骨が出土している。このうち,現地調査最終盤に出土し,保存状況も最良の白保4号個体の頭骨について,実物の骨をできるだけ接合したのちに,X線CT撮影により3次元形状データを取得してデジタル形状データとして全体を復元した。その結果,鼻根部の強い陥凹や,顔高が低く額が幅広であるなどの特徴が明らかになった。さらに実物の頭骨で直接測った計測値とデジタル復元結果を利用して求めた計測値を合わせて,予備的な形態解析を実施したところ,白保4号頭蓋の形態は,日本列島の旧石器時代人や縄文時代人,そして中国南部やベトナムなど琉球列島よりもさらに南方系の先史時代の人々に近いことが示唆された。デジタル復元した頭骨をもとにして生前の顔貌の復元を試みたので,その経過と復元結果についても報告する。

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© 2018 日本人類学会
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