抄録
要約日本人女性の身長推定においては藤井 (1960) の推定式が広く用いられている。本研究ではこの個体データに新たに得たデータを加え, 統計学的により信頼度の高い日本人女性の身長推定式の作成を試みた。各四肢骨による推定身長の誤差, 分散を検討した結果, 本研究による推定式は日本人女性に藤井式より適している, または, 少なくとも同等であるとの予測を得た。さらに, 最小二乗法による推定式の残差に認められる, 低身長個体の過大評価, 高身長個体の過小評価という傾向を改善するため, 主軸法と標準化主軸法により身長推定式を求め, 検討した。その結果, 高身長と低身長の個体に対しては主軸法が有効であることが示唆された。