Anthropological Science (Japanese Series)
Online ISSN : 1348-8813
Print ISSN : 1344-3992
ISSN-L : 1344-3992
106 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 芦澤 玖美, 大槻 文夫
    1998 年 106 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 鵜沢 和宏
    1998 年 106 巻 1 号 p. 19-30
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1950年代に始まった初期人類の食性行動に関する研究は, 1980年代以降, 遺跡出土動物化石の分析にタフォノミー的手法が導入されたことによって, 大きな進展をみた。オルドヴァイ出土動物化石の再検討を通じ, 旧来の肉食重視のモデルが立場を弱め, かわって初期人類と大型食肉獣との競合・共存関係に重点を置くスカベンジングモデルが台頭している。本論では初期人類の肉食行動に関する最近の研究情況を概説し, 現状での問題点をまとめる。まず,(1) 蓄積されつつあるタフォノミー研究の成果を遺物の解釈に生かすための, 生態学的な視点に立った初期人類の行動戦略モデルの構築と, ミドルレンジ研究の一層の推進が必要である。そのためには,(2) 研究対象がオルドヴァイ資料にほぼ限定される現状は閉塞的であり, 異なるコンテキストのもとで形成された多様な一次資料の分析が不可欠であることを指摘する。こうした現状を踏まえ, 筆者らがエチオピア, コンソ遺跡群でおこなっている調査の予察を紹介し, 本研究分野の研究方向を検討する。
  • 中橋 孝博, 飯塚 勝
    1998 年 106 巻 1 号 p. 31-53
    発行日: 1998年
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    弥生文化がいち早く開花した北部九州において, 縄文から弥生への変革を担ったのは土着の人々か, それともこの時期に大陸から渡来した人々なのか, この点について出土人骨に関する形態学的, 人口学的な観点から考察を加えた。当地域の弥生人骨の出土は中期に集中しており, 縄文晩期~弥生初期の住人については資料欠落のため, 直接的な検討ができない。しかし, 中期人骨を判別分析した結果によると, その中に含まれる縄文系弥生人の比率は10~20%に留まり, 殆どが渡来系弥生人で占められている。中期の前半と後半でも人骨形質に変化はなく, こうした人口構成は遅くとも中期初めまでに形成されたと考えられる。もし, 水稲耕作を柱とする弥生社会の出現と発展が土着の縄文系弥生人に依るものだとすると, 200~300年後の同地域に, 形質の大きく異なる渡来系の人々が大多数を占めるような社会が出現することは説明困難である。考古学的諸事実から, 初期渡来人の数は土着集団に較べて少数であったと考えられるが, 土着系集団と渡来系集団の間に人口増加率で大きな差があったと想定すれば, 弥生中期に至るまでの人口比の逆転現象は説明可能である。弥生文化の開花とその発展は, 当初より渡来系集団が牽引者となり, 急速に自身の人口を増やしていった可能性が高い。
  • 佐宗 亜衣子, 埴原 恒彦
    1998 年 106 巻 1 号 p. 55-66
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    要約日本人女性の身長推定においては藤井 (1960) の推定式が広く用いられている。本研究ではこの個体データに新たに得たデータを加え, 統計学的により信頼度の高い日本人女性の身長推定式の作成を試みた。各四肢骨による推定身長の誤差, 分散を検討した結果, 本研究による推定式は日本人女性に藤井式より適している, または, 少なくとも同等であるとの予測を得た。さらに, 最小二乗法による推定式の残差に認められる, 低身長個体の過大評価, 高身長個体の過小評価という傾向を改善するため, 主軸法と標準化主軸法により身長推定式を求め, 検討した。その結果, 高身長と低身長の個体に対しては主軸法が有効であることが示唆された。
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