Acta Arachnologica
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トゲヤドリカニムシの生活史について
佐藤 英文
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1978 年 28 巻 1 号 p. 31-37

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抄録

樹上生活性カニムシであるトゲヤドリカニムシ Haplochernes boncicus KARSCH の生活場所および生活史について調査し, 以下に示すような結果が得られた。
1) 本種はスギ, ヒノキ, ときにはアカマツなどの乾燥した樹皮下に生息する。他の昆虫などに食害された樹皮よりも清潔で滑らかな樹皮の間隙に多い。老木の方が若木よりも好まれる。
2) 寿命は4年あるいは5年以上と推定され, 第一若虫から第三若虫までは各一年, 成虫は1, 2年あるいはそれ以上生きるものと推測される。
3) 脱皮時期は7~8月である。縦に長く横に短かい楕円形の巣の中で脱皮する。
4) 繁殖期は7~8月である。抱卵雌は営巣せず, 巣にかわるものとして糸を敷きつめた“抱卵床 (brood-bed)” をつくる。抱卵床の大きさは平均して長径6.47mm短径3.98mmであった。雌1個体の産卵数は平均12-13個体であった。

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