Acta Arachnologica
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ナルコグモの網構造と餌捕獲行動
新海 明新海 栄一
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1997 年 46 巻 1 号 p. 53-60

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抄録
ナルコグモ Wendilgarda sp. の網構造はクモ類のなかでも特異なもののひとつである. この網は流水上ニ造られ, タテ糸とヨコ糸がないかわりに水平糸と粘糸からできていた. 水平糸はほぼ水平に張られた不粘糸で, 川の中にある石や枝に付着しており, 粘糸は水平糸と水面との間に張られていた. この垂直に張られた粘糸の末端は水面に接着していた. 餌捕獲行動も調査したが, 餌が粘糸にぶつかると, クモは水平に張られた水平糸に沿って餌がからまった所まで移動し, 餌のついた粘糸を引き上げた. そして, 餌を糸で包むと網の中央へ戻った.
これらの観察結果は, ナルコグモの網がカラカラグモ属の張る網に類似しているというよりも, 他のカラカラグモ類, たとえばヤマジグモ属と関連していることを示唆した.
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