抄録
関東平野北西部でハンドソーティングにより19種のコモリグモ(クモ目: コモリグモ科) を採集し, 3つの環境要素 (底質, 光, 水) で分類した生活場所における頻度から, それぞれの生活場所選好性を推定した. ハンドソーティングにより, 落し穴トラップで調査された12種 (Fujii l997) に加えて7種 (スジブト, カガリビ, クロコ, ハラクロ, キクヅキ, キシベ, キバラ) が検討できるようになり, イナダハリゲ, ウヅキ, クラーク, イモではより正確な選好性を知ることができた. 種間の相違はそれぞれの属内で大きかったが, エビチャとフジイ, チビとコガタには見られなかった. 他のオオアシコモリグモ属やカイゾクコモリグモ属の数は, 選好性の部分的重複も認められた. ステージ間の相違は不明瞭であった.