Acta Arachnologica
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イソウロウグモ属 (クモ目: ヒメグモ科) の1新参シノニムおよび日本産1新種の記載
谷川 明男
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1998 年 47 巻 1 号 p. 21-26

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抄録
Spheropistha melanosoma Yaginuma, 1957クロマルイソウロウグモと Argyrodes イソウロウグモ属のクモ類とを比較検討した結果, Spheropistha マルイソウロウグモ属をイソウロウグモ属から独立させるに十分な特徴を見出すことができなかったので, マルイソウロウグモ属をイソウロウグモ属の新参シノニムとし, クロマルイソウロウグモをイソウロウグモ属に移動した. また, 日本産イソウロウグモ属の1新種を Argyrodes miyashitai ミヤシタイソウロウグモと命名して記載した. 本新種は, 一見して Argyrodes fissifrons O.P.-Cambridge, 1869チリイソウロウグモに似ているが, 本新種の方が体長がはるかに小さく, 雌雄の生殖器の形態は全く異なっている. 生殖器の形態からは Argyrodes melanosoma (Yaginuma, 1957) クロマルイソウロウグモに近縁であると考えられる. 本新種とクロマルイソウロウグモとは腹部の形や色彩などの違いによって簡単に見分けることができるが, 両者の生殖器の構造には次のような共通点が見られる. 外雌器の構造が単純であること; 交尾管が長くて複雑に曲がりくねっていること; 雄触肢の移精針がたいへん長くてコイル状に丸まっていること; 指示器が半円状でその中に移精針を包んでいること.
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© 日本蜘蛛学会
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