2021 年 1 巻 2 号 論文ID: SC-2021-19
本研究は中国語普通話の3つの無声歯擦子音[c], [s], [s] の音韻的特性に注目し、中国語 CV 音節の摩擦子音 部分と後続母音部分の音響的特徴が知覚的手がかりとしてそれぞれどのように機能しているか、また[s] と [s]の弁 別しか持たない日本語母語話者の知覚的手がかりが中国語母語話者とどう異なるかについて、 中国語母語話者と中 国語を学ぶ日本語母語話者を対象に音声モーフィングによる合成音声を使用した知覚実験を行った。母語話者は、 中国語の音韻体系に基づいて子音部分と母音部分の情報を知覚的手がかりとして状況に応じて使い分けているのに 対し、学習者はどの場合においても子音の音響的特徴の影響をより強く受ける傾向があった。