AUDIOLOGY JAPAN
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原著
人工内耳装用児4例の構音能力
—補聴器装用児1例との比較—
森 尚彫森 壽子川崎 美香黒田 生子藤本 政明伊藤 壽一
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2009 年 52 巻 6 号 p. 602-611

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抄録
人工内耳 (以下CI) 装用児4例と比較対照の補聴器 (以下HA) 装用児1例の長期的な発達経過から, CI装用児の構音能力に関する知見をえた。
今回の症例では, CIを2歳代で早期に装用した症例は, 健聴児と同様な構音発達がみられ, 6歳代でCI装用開始した症例は, CI埋め込み術時の言語・知能の状態によって構音の発達速度に差がみられたが, 構音能力は改善した。7歳代以降にCI装用した症例は, CI装用後の構音の改善は緩やかであり, 構音困難な音が残存した。
これらから, CI装用効果には, CI装用年齢とCI装用年数の与える影響が大きいと考えられた。また, 構音能力は言語能力を基盤に発達していると考えられ, CI装用児の構音の獲得については, 健聴児の構音が完成するとされる6~7歳頃までに多くの聴覚情報が得られているかが重要であると考えられた。
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© 2009 日本聴覚医学会
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