AUDIOLOGY JAPAN
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総説
BAHAの聴覚医学的問題
岩崎 聡
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キーワード: BAHA, 補聴器, 人工中耳, 片側聾
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2010 年 53 巻 3 号 p. 177-184

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抄録

埋め込み型骨導補聴器 (BAHA) は, チタン性のインプラントを側頭骨に埋め込み, 骨導端子を接続することで聞き取る補聴機器である。これまので骨導補聴器の利点を活かし, より安定した聞き取りが得られるようになった。海外ではすでに多くの症例に対して施行され, 本邦では現在医療機器としての承認申請中である。これまでの耳科手術や既存の補聴器を使用しても適切な聴力改善・補聴効果が得られない外耳道疾患・中耳疾患による混合性・伝音性難聴や片側聾に対して施行されている。気導補聴器との比較では, 質問紙による評価で多くの報告がBAHAの優位性を示しているが, 語音聴力検査では検査法, 検査条件により統一した結果がみられず, さらなる検討が必要と思われる。片側聾に対しては難聴耳側からの聴取や雑音下での聴取の改善が認められている一方, 音源定位に関しては評価法も含めて今後の課題と考える。

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© 2010 日本聴覚医学会
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