AUDIOLOGY JAPAN
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原著
耳覆い形および挿耳形イヤホンを用いた健聴耳の語音了解閾値 (SRT)
荻野 真愛松平 登志正
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2010 年 53 巻 3 号 p. 185-191

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抄録

耳覆い形イヤホン (SENNHEISER HDA 200型) および挿耳形イヤホン (EARTONE 3A型) について, 語音聴力検査の基準値の設定を目的に, 30名の耳科学的正常者を対象に67-S数字語表の語音了解閾値 (SRT) を測定し, 耳載せ形イヤホン (Rion AD-02型) と比較した。データは, 各被験者が3つの異なるイヤホンで検査を受ける被験者内計画で収集した。しかし, データの分析過程で2回目, 3回目の測定で一部順序効果によるSRTの低下が認められたので, それぞれのイヤホンで最初に検査された10名からなる3グループの被験者間計画として再分析を行った。その結果, 耳覆い形と挿耳形イヤホンによる10名のSRTの平均は, それぞれ8.9dBSPLおよび9.1dBSPLであったのに対して, 耳載せ形のそれは, 13.7dBSPLと既存の基準値14dBSPLに近い値が得られた。今回得られた3種のイヤホンのSRTは, 純音の基準等価閾値音圧レベルとの整合性が確認された。SRTの基準値の設定には, 被験者数と実施施設を増やして被験者間計画により新たに検討を行う必要があると考えられた。

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© 2010 日本聴覚医学会
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