AUDIOLOGY JAPAN
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原著
当科小児難聴外来の過去10年間における難聴の遺伝学的検討
小林 有美子佐藤 宏昭岩井 詔子村井 盛子宇佐美 真一
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2010 年 53 巻 3 号 p. 192-198

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抄録

今回我々は, 1997年から2007年までの間に岩手医科大学耳鼻咽喉科小児難聴外来を受診した, 明らかな外因のない両側感音難聴患者64例を対象とし, GJB2 変異, SLC26A4 変異, ミトコンドリアA1555G変異について解析を行った結果と, それ以前に本人及び家族の聴力検査, オージオグラムの特徴などから遺伝性難聴と診断されていた例と比較検討し, 遺伝性難聴の頻度がどの程度変化したのか, またそのオージオグラムの特徴について検討を行った。両側感音難聴64例のうち, 難聴の病因と考えられる遺伝子変異が見つかったのは11例 (17.2%) であった (GJB2 変異9例, SLC26A4 2例)。遺伝性難聴の頻度は遺伝子検査以外の検査から診断した例に遺伝子検査で確認された例を加えることによって, 全体の45.3%となった。遺伝子変異例のオージオグラムの特徴は, その左右対称性などこれまでに知られている遺伝性難聴の特徴と一致することが多いことがわかった。

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© 2010 日本聴覚医学会
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