AUDIOLOGY JAPAN
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原著
聴力精査を目的に耳鼻咽喉科を受診した0歳児の検討
臼井 智子鶴岡 弘美増田 佐和子
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2010 年 53 巻 3 号 p. 216-223

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抄録

当院で聴覚精査を行った0歳児222名を検討した。健診や聞こえが心配で受診したものは49名で初診月齢の中央値は4ヵ月であった。このうち6名が両側中等度以上の難聴, 2名が一側性難聴だったが, 軽度難聴例はなかった。新生児聴覚スクリーニング精査児は95名で, 初診月齢の中央値は1ヵ月であった。このうち一側性難聴は35名, 両側難聴は34名で17名が高度, 14名が中等度, 3名が軽度難聴であった。補聴器装用開始の平均月齢はスクリーニング児, 非スクリーニング児の高度難聴でそれぞれ6.8ヵ月, 10.7ヵ月, 中等度難聴で14.8ヵ月, 10.4ヵ月であった。難聴と診断された後聴力閾値が改善し, 正常と診断された児を5名認めた。スクリーニングは難聴の早期発見に有用であるが, 時に, 特に軽~中等度難聴児への適切な補聴器適合は難しい。全新生児へのスクリーニングと軽度難聴児まで含めた早期介入システムの構築が必要である。

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© 2010 日本聴覚医学会
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