AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
Print ISSN : 0303-8106
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原著
本邦における埋め込み型骨導補聴器 (Bone-Anchored Hearing Aid: BAHA) 治験
—補聴器との比較について—
岩崎 聡喜多村 健福田 諭小林 俊光熊川 孝三宇佐美 真一土井 勝美西崎 和則暁 清文東野 哲也
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2010 年 53 巻 3 号 p. 224-231

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抄録

2006年12月から2008年9月に9施設が参加して実施した「埋め込み型骨導補聴器 (BAHA) の伝音障害患者および片側聾患者に対する有効性と安全性の臨床試験」で, 既存の補聴器とBAHAにおける比較検討を「補聴器の有効性評価簡略化版 (APHAB)」を使用したアンケート調査で行った結果を報告した。対象は伝音障害で術前に補聴器を使用していた26名 (気導補聴器16名, 骨導補聴器10名), 片側聾で術前に補聴器を使用していた3名 (気導補聴器2名, 骨導補聴器1名) である。BAHAは「コミュニケーションの容易さ」,「騒音下の語音理解」,「反響音」,「満足度」,「役立ち度」に関して気導補聴器・骨導補聴器よりも良好な結果を示した。しかし,「音に対する不快感」,「1週間の装用日数」でBAHAの方が不良な結果であった。語音の聞き取りはBAHAの方が良好であったが, うるささに関してはまだ慣れていない可能性も考えられ, 長期装用による再評価も必要と思われた。

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© 2010 日本聴覚医学会
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