AUDIOLOGY JAPAN
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第55回日本聴覚医学会主題演題特集号
「補聴器適合検査」 「突発性難聴」
北里大学病院における過去16年間の突発性難聴への治療方法とその効果
佐野 肇渡辺 裕之小野 雄一猪 健志大橋 健太郎岡本 牧人
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2011 年 54 巻 2 号 p. 169-175

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抄録

1994年より2009年末までに当科で治療を行った突発性難聴症例で, 初診時聴力のgradeが2, 3, 4であった578例 (男性287例, 女性291例) について, 行われた治療法, 最終治療成績, 治療法の違いによる治療成績への影響, について検討した。
各群に行われていた治療内容では, 入院治療の割合はgrade2, 3, 4の順に68%, 89%, 95%と高くなり, 高気圧酸素療法 (HBO) 施行の割合は同様に24%, 35%, 63%と高くなっていた。
各gradeにおける固定時聴力の分布は, grade2と3ではピークは10~20dB台にあって右側にやや広い分布 (grade3でより広い) になっていた。それに対してgrade4では60dB台にピークを持つ正規分布型を呈しており, grade2, 3とは明らかに異なる分布を示した。
grade2において外来治療と入院治療, grade3, 4群の入院治療例においてHBO併用の有無が治療成績に与える影響を多重ロジスティック回帰分析により検討したが, いずれの群においても二つの治療法の違いは成績に影響していなかった。

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© 2011 日本聴覚医学会
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