2014 年 57 巻 4 号 p. 236-243
要旨: 46~61歳の左右対称性中等度難聴の5例に対して, 4種類の補聴器を各社の補聴器調整ソフトウエアにより初期調整に設定して補聴器適合検査と音の印象評価を同時に行った。その結果, 補聴器適合検査では初期設定された4器種の補聴器は適合良好であると判断された。音の印象評価は, 個体差が大きく, また提示する環境騒音により異なった。雑音下短文の評価は, 雑音抑制機能を内蔵した補聴器は内蔵しない補聴器に比較し, 有意に「落ち着いた」という評価であり,「歯切れがよい」の評価項目ではメーカ間で有意差をみとめた。これらのことから, 評価には特性の異なる音源が必須であり, 主観評価を行うことにより客観評価では得られない情報がもたらされ, 重要であることがわかった。したがって, 我々は症例により適合検査や主観評価を総合的に評価し装用相談や指導を行っていく必要がある。