AUDIOLOGY JAPAN
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総説
科学技術の進歩と聴覚医学
「聴覚と脳機能画像」
内藤 泰
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2014 年 57 巻 6 号 p. 659-669

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抄録

要旨: 本稿では, 大脳皮質における聴覚情報処理のどのような段階あるいは側面が, 皮質のどの領域, あるいはネットワークで行われているのかについて脳機能画像で得られた知見を概括した。 聴覚野における音の周波数に応じた配列は外側が低音,内側が高音という単純な配置から, 複数の軸を有する複雑な配列へと理解が深まっている。 音の強さの認知には聴覚野以外の皮質領野の関与が示唆されており, 語音と楽音のように異なる音色が聴覚野の異なる領域で処理されることも報告されている。 また, 難聴や背景雑音によるS/N比の低下,人工内耳を介する言語聴取など, 困難な条件下の聴覚認知では視覚野や前頭葉の運動関連領野などとの協同が観察され, 難聴などに起因する種々の障害の背景にある神経機序を理解し, 治療やリハビリテーションの方針を考える上で有用な情報が得られている。

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© 2014 日本聴覚医学会
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