AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
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原著
聴覚過敏症状の自覚的表現についての検討
西山 崇経新田 清一鈴木 大介坂本 耕二齋藤 真野口 勝大石 直樹小川 郁
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キーワード: 聴覚過敏, 自覚的表現, 難聴
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2019 年 62 巻 3 号 p. 235-239

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抄録

要旨: 聴覚過敏は, 日常的な音に対して過敏性や不快感を示す状態で, 外界からの音によらない耳鳴や, 自分の声のみが強く聞こえる自声強聴とは異なった病態を表すと考えられている。しかし, 過敏症状には「響く」,「大きく (強く) 聞こえる」など多彩な表現が存在するにもかかわらず, 各表現を分類して意義を検討している報告はない。そこで, 過敏症状を訴えた168名を対象に, 過敏症状の自覚的表現と疾患との関連や, これらの表現の臨床的意義について検討した。疾患の内訳は, 約3分の2が急性感音難聴で, 次いで加齢性難聴であり, 聴力検査上異常を認めない症例も 1割程度含まれていた。「響く」が最も多く,「響く」か否かを問診することは過敏症状のスクリーニングに役立ち,「割れる」や「二重に聞こえる」は感音難聴の存在を疑い,「大きく (強く) 聞こえる」は極めて軽微な内耳障害や, 聴覚中枢を含めた病態の関与を考える必要がある表現と考えられた。

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© 2019 日本聴覚医学会
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