要旨: 研究というと今日ではがむしゃらに実験をしたり, 症例データを集めて論文を書くといったハードワークのイメージがあります。これはいわゆる「成果主義」に基づくもので, 社会全体において一般的となっています。一方で古くは研究と言えば暇な学者が興味本位で楽しみながら急がず行っていたようです。研究 • データ収集を始めた研究者が “自らの手で果実を収穫する” ことを絶対条件とせず, コツコツ続け場合によっては後継者に引き継ぐという考え方の, “気の長い” 研究を行う姿勢も重要と考えます。
本稿は2024年の第69回学会において,後者の手法について筆者が口演した教育講演「“気長に続ける” 研究の特色と倫理・利益相反等について」の内容を要約したものです。