AUDIOLOGY JAPAN
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西陣織と騒音難聴
竹之内 智中西 博子
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1976 年 19 巻 2 号 p. 110-115

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抄録

京都の伝統産業である西陣織に従事し何らかの耳科的訴えをもって来院した患者の主訴聴力障害の程度を性別, 年令, 経験年数などより分析し, また織機の発する騒音を測定した。
西陣織織機の騒音レベルは92dB(A) (JIS規格) で周波数分布状態は2,000-3,000Hzにピークをもち, 最も強い騒音の発生源は作業者の両側1mの距離にある抒打ち部分でしかも衝撃的な音であった。昭和46年より50年までの来院患者105例の男女比は2対3で, 年令は20才より70才にわたり, 就業年数は2年-40年に分布し, 主訴は耳鳴がもっとも多く60%を占め, 聴力像はC5dip型, または高音下降型が大部分で平均聴力40dB以上の難聴を示すものが25%あった。聴力低下は3-20年までは経験年数に比例して低下を示すが21年以上の就業者ではむしろ軽度であった。

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