AUDIOLOGY JAPAN
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200mlグリセロール静注試験の有用性について
木村 寛麻生 伸上田 晋介渡辺 行雄水越 鉄理
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1992 年 35 巻 6 号 p. 645-651

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抄録
内リンパ水腫の病態を示す疾患に200mlのグリセオール®を30分間で静注し, 静注開始前, 点滴開始後30分, 60分後に純音聴力検査を行う200mlグリセロール静注試験を施行した。 経時的に血中グリセロール濃度, 血清浸透圧も測定し, その有用性について検討した。
200mlグリセロール静注試験を施行した内リンパ水腫22耳のうち, 11耳 (50%) に有意の聴力改善を認めた。 200mlグリセロール静注試験と既に報告されている500mlグリセロール静注試験を共に施行した内リンパ水腫の病態を示す疾患17耳中15耳の判定結果が, 一致した。 さらに200mlグリセロール静注時と500mlのグリセロール静注時の患耳の聴力改善量には, 有意の差はなかった。 200mlグリセロール静注時の血中グリセロール濃度の点滴開始後30分値は, 同時期の500ml静注時のその濃度と有意差を認めず, 1.5g/kg相当のグリセロール経口投与群のそれより上昇していた。 血清浸透圧については, 上記の他の2法と比較して有意差を認めなかったものは, 点滴開始後30分値が経口法に比してのみであった。 悪心, 頭痛の副作用を22例のうち, 1例ずつに認めた。 200mlグリセロール静注試験は検査時間の短縮が可能であると推察された。
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© 日本聴覚医学会
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