AUDIOLOGY JAPAN
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人工内耳症例7例の語音了解度とその経時的変化の検討
柊山 幹子
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1994 年 37 巻 3 号 p. 190-195

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抄録

当科でCochlear社製人工内耳手術を施行した症例のうち, 使用期間が1年以上になる7例の語音了解度を母音, 子音, 単音節, 単語, 文について評価し, その経過を検討した。
人工内耳のみによる母音弁別能 (チャンス・レベル: 20%) は平均80% (範囲: 58-100%) で, 子音弁別能 (チャンス・レベル: 7.1%) は人工内耳のみで平均46% (範囲: 23-65%), 人工内耳読話併用で平均73% (範囲: 55-86%) であった。 良好な成績を示した5例の語音了解度は使用開始後3ヵ月あるいは6ヵ月までに急激に上昇した。 7例中, 最低の語音了解度を示した1例では使用2年後に母音弁別能が30%から58%に上昇し, 長期失聴症例の語音了解度は短期失聴症例のそれとは異なり緩徐に上昇することが示唆された。 また語音了解度の順調な発達のためには人工内耳の日常的な使用継続が大切だと思われた。

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