AUDIOLOGY JAPAN
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感音難聴と加齢
騒音性難聴
調所 廣之
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1996 年 39 巻 2 号 p. 101-108

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抄録

「感音難聴と加齢」, とりわけすでに難聴になった人, すなわち, 騒音性難聴症例がその騒音職場を難脱した後どの様な聴力変化を示すのか, 追跡調査にて検討し, 以下の結果をえた。
1) 騒音職場就業中の騒音性難聴進行の経過は一般的に騒音下作業に就いた比較的早期に, すなわち5-15年の間に比較的急激に悪化し, その後はほとんど変化しないか, あるいは極めて緩徐に悪化する。 この緩徐な悪化とは生理的加齢変化とほぼ一致した。 また, 高音域においては曝露音が高い場合は, その後増悪する例が多い。
2) 騒音職場離職後10年間以上の追跡調査を行った結果, 250Hz-2kHzは, 加齢変化とほぼ同等の傾きで聴力は悪化している。 しかし, 4kHz, 8kHzでは, 離職時にすでに聴力がかなり悪いためか, 加齢変化に比較して悪化は緩徐であった。
3) 騒音職場離職後の5年間以上の追跡調査を行った結果, 前項の10年間の追跡調査結果とほぼ同様の結果がえられた。 しかし, 中低音域においては加齢変化より著しく悪化した症例が認められた。
以上の結果を下に騒音性難聴と加齢についてその内耳の病態について考察した。

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