AUDIOLOGY JAPAN
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39 巻, 2 号
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  • 市川 銀一郎
    1996 年 39 巻 2 号 p. 99
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 立木 孝
    1996 年 39 巻 2 号 p. 100
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 騒音性難聴
    調所 廣之
    1996 年 39 巻 2 号 p. 101-108
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    「感音難聴と加齢」, とりわけすでに難聴になった人, すなわち, 騒音性難聴症例がその騒音職場を難脱した後どの様な聴力変化を示すのか, 追跡調査にて検討し, 以下の結果をえた。
    1) 騒音職場就業中の騒音性難聴進行の経過は一般的に騒音下作業に就いた比較的早期に, すなわち5-15年の間に比較的急激に悪化し, その後はほとんど変化しないか, あるいは極めて緩徐に悪化する。 この緩徐な悪化とは生理的加齢変化とほぼ一致した。 また, 高音域においては曝露音が高い場合は, その後増悪する例が多い。
    2) 騒音職場離職後10年間以上の追跡調査を行った結果, 250Hz-2kHzは, 加齢変化とほぼ同等の傾きで聴力は悪化している。 しかし, 4kHz, 8kHzでは, 離職時にすでに聴力がかなり悪いためか, 加齢変化に比較して悪化は緩徐であった。
    3) 騒音職場離職後の5年間以上の追跡調査を行った結果, 前項の10年間の追跡調査結果とほぼ同様の結果がえられた。 しかし, 中低音域においては加齢変化より著しく悪化した症例が認められた。
    以上の結果を下に騒音性難聴と加齢についてその内耳の病態について考察した。
  • 中島 務, 福田 成司, 柳田 則之
    1996 年 39 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    突発性難聴後の長期経過の報告は今までいくつかみられるが, 老人性難聴が出現してくる程に長期の経過を観察した報告はほとんどない。 我々は, 1980年から1985年の間に突発性難聴により名大耳鼻科を受診して固定時まで聴力の経過を観察し得た349症例を対象として1994年にアンケート調査を行った。 また, アンケートに答えた人のうち82人に再度名大耳鼻科を受診してもらい聴力検査を施行した。 多くの例でこの長期期間中の聴力の変化はみられなかったが, 突発性難聴罹患耳あるいは健側耳において聴力低下を認めた例があった。 聴力低下を突発性難聴罹患耳に認めたものは年齢とは関係なかったが, 健側耳に認めたものは加齢による老人性難聴であった。 この健側耳に老人性難聴が出現する高齢群においても, 突発性難聴罹患耳聴力のさらなる低下は比較的起こりにくかった。
  • 森園 哲夫, 白石 君男, 武末 淳, 周防屋 祐司, 加藤 寿彦
    1996 年 39 巻 2 号 p. 115-121
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    感音難聴と加齢の研究の一端として, 薬物性難聴について検討した。
    この研究は, 肺結核の治療として既にストレプトマイシンの注射をうけて感音性難聴を来した症例では, 加齢が聴覚にどう影響するかを知る目的でなされた。 総数159例のうち, 男性18名, 女性13名の合計31症例が検討の対象となった。 これらはストレプトマイシン注射直前, 3ヵ月から6ヵ月にわたる注射療法の終了直後, および満8年以上11年未満の経過を経た現在の3時点での信頼すべきオージオグラムがある症例のみに限られた。
    われわれの予想に反して, ストレプトマイシンによる薬物性難聴は相加的でも相乗的でもなく, 注射直後に大きな聴力低下のある症例では, その後の加齢による影響は小さく, 逆に薬剤による聴力低下の小さな症例ではその後の加齢による影響が大きく, 結局現在の聴力レベルはすべての症例でほぼ同程度に低下していると考えられた。
    加齢による老人性難聴と異なり, ストレプトマイシンによる薬物性難聴の程度は, ポジティブフィードバックの域を出ないと言うことが関係していると思われる。
  • 岡本 牧人
    1996 年 39 巻 2 号 p. 122-129
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    特発性両側性感音難聴 (以下, 特難) 患者の聴力が加齢によってどのようになるかを検討した。 平均観察期間10年の110名の特難を人間ドック受診の成人1377名の聴力と対比した。 症例数が少ないため, 年齢層別平均聴力からは加齢変化について言及はできなかった。
    10年間に特難は疾患そのものの悪化を示した。 悪化はどの年代でも, また, どの周波数にもほぼ同程度に生じた。 高齢者の特難で高音域の悪化幅が特に増大することはなかった。
    散布図の検討から特難の聴力悪化のきっかけは加齢変化と同様で, ある年齢よりもある聴力程度が関与していると結論した。
    聴力分布の検討から特難と加齢変化の内耳障害部位が同一であると推測した。 両者の障害部位が同じなので障害がより強い特難による難聴の悪化は加齢による難聴の悪化を隠蔽すると考えた。
  • 外耳道誘導蝸電図CMを用いて
    神田 幸彦, 塚崎 尚紀, 隈上 秀高, 田中 藤信, 城丸 みさと, 隈上 秀伯
    1996 年 39 巻 2 号 p. 130-134
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    従来よりABRは幼小児の難聴の早期発見に多大な貢献を果たしてきた。 しかしABRは検査音としてclick音を用いているため聴覚の低音部の評価は困難である。 我々はABRで評価しにくい低音部0.5kHz-1kHzの幼小児の内耳機能の評価を主目的に外耳道誘導蝸電図を施行したのでその実態を報告する。 対象は10ヵ月-2歳6ヵ月の幼小児7名。 症例3は0.5kHzおよび1kHzにおいて70dBまでCMの反応が認められた。 他にもABRでたとえ反応が悪くても, 低音部のCMは残存していることが認められた。 小児にも侵襲の少ない外耳道誘導蝸電図を利用することで幼小児の内耳機能を他覚的に評価することが可能であると推測された。 幼小児難聴の限られた残存聴力を活用, そして保護するためにも, このCMからの情報は補聴器のフィッティングに有効であると考えられた。
  • 千田 英二, 佐藤 信清, 川浪 貢, 柏村 正明, 坂本 徹, 福田 諭, 犬山 征夫
    1996 年 39 巻 2 号 p. 135-142
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    正常聴力および内耳性難聴625耳において, 耳音響放射専用測定器ILO88を使用し誘発耳音響放射の測定を行い聴力と比較した。 聴力が正常でも耳音響放射が不良な症例が少なからず存在したため, 各指標において正常聴力耳と難聴耳とを明確に区別する値を求めることは困難であった。 そのため, 誘発耳音響放射の指標であるTotal Echo PowerおよびWhole Reproducibilisyそれぞれにおいて感度・特異度を算出し, 聴力正常と判定するためのカットオフ値について検討を行った。 TEOAEの特性上, 絶対的なカットオフ値を決定できないことより, いくつかのカットオフ値を症例ごとに適用することが臨床応用上実際的であると考えられた。
  • 坂下 哲史, 久保 武志, 楠木 誠, 上野 慶太, 久内 一史, 中井 義明
    1996 年 39 巻 2 号 p. 143-150
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    誘発耳音響放射 (EOAE) のFiltered Echo Power (FEP) と歪成分耳音響放射 (DPOAE) のDPレベル (DPL) の検出率およびそれらの値を指標として, 内耳性難聴耳78耳を対象に純音聴力検査上の対応する周波数およびそれより高音域における聴力閾値との関連について検討した。 その結果, 検出率や対応する周波数の聴力閾値との相関の高さおよび検出できる聴力の範囲の広さよりDPLの方がFEPよりも聴力閾値との検討には有用性が高いと思われた。 またFEP・DPLともにより高音域の聴力の状態, すなわち, 蝸牛のより基底部分の傷害の程度や範囲によって影響を受けること, および高音域よりは中音域において蝸牛傷害の影響を受けやすいことが示唆された。 今後はこのような耳音響放射の特性を考慮に入れた上で, 純音聴力閾値との関連をさらに詳細に検討していく必要があると考えられた。
  • 佐野 肇, 竹内 義夫, 岡本 牧人, 浅野 和江
    1996 年 39 巻 2 号 p. 151-157
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    竹内の開発した自動語音検査装置 (CASA) を用いた語音弁別検査の結果について検討した。 1994年度1年間に行われた検査全体の明瞭度の分布は, 正常値にピークを持つ指数分布を示した。 50から60%の明瞭度の検査における音節別誤答率の分布は19%から88%の間に広く散在していた。 過去に報告した57語表による検査の音節別誤答率との順位相関は0.62であった。 各音節の識別点の分布は明瞭度30から40%台にやや多かったが, 比較的広い範囲に散在していた。 各音節の識別力は識別点の特に高い音節や特に低い音節で高く, それ以外の音節ではそれほど高くなかった。 総じて記述的検査法として57語表と比較すると, CASAの方がより優れていると考えられた。
  • 牧嶋 和見, 吉田 雅文, 藤村 和伸
    1996 年 39 巻 2 号 p. 158-163
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高周波数域オージオメータを新たに開発した。 本開発機器は, 周波数発信器の作製の工夫, 静電コンデンサ型ヘッドホンの採用, さらには標準オージオメータと連動して使用出来ることなどを特徴としている。 本高周波数域オージオメータを使用して, 正常若年者ならびに各種の感音性難聴者に標準周波数域ならびに高周波数域の聴力域値測定を行い, 14kHzに到る信頼性のある安定した成績を得た。 高周波数域オージオメータの応用は, 感音性難聴の早期診断に有用であると考えた。
  • 麻生 伸, 渡辺 行雄, 水越 鉄理
    1996 年 39 巻 2 号 p. 164-170
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    両側変動難聴性メニエール病5例と対側型遅発性内リンパ水腫3例を呈示し, 長期間の聴力変動をもとに先行耳と後発耳との相互関係について考察した。 両側メニエール病の5例はいずれも左右の聴力がシーソー様に変動する極めて稀な症例であった。 5例中3例で後発耳の聴力が先行耳より悪化し, 聴力変動の際にはめまい症状も随伴することが多かった。 シーソー様変動聴力の原因は左右の内リンパ水腫病態の位相にズレが生じるためと推測した。 対側型遅発性内リンパ水腫のうち2例にも同様のシーソー様変化を認め, 両側メニエール病と遅発性内リンパ水腫の両者の特徴を有した移行型と考えられた。 両側メニエール病と対側型遅発性内リンパ水腫には類似点と相違点があり, 完全に同一の病態とは断定できない。
  • 聴力障害の進行過程を中心に
    伊藤 彰紀, 坂田 英治, 大都 京子
    1996 年 39 巻 2 号 p. 171-177
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1年以上の経過を観察し, しかもその観察期間中に純音聴力検査を4回以上施行し得た一側性メニエール病の68例について検討した。 男女別内訳は, 男性27例, 女性41例。 対象聴力図は合計348個。 これら68症例の受診時年齢は44.8±11.2歳であり, 発症年齢は40.0±11.4歳であった。 聴力型を検討すると, 罹患期間が長くなるにしたがって, 低音障害型と山型が減少し, 高音漸傾型と水平型が増加した。 初診時の7周波数平均聴力は40.3±14.9dBであり, 一方最終聴力検査時の7周波数平均聴力は45.7±17.6dBであり両者間に有意差を認めた (p<0.05)。 聴力変動としては低-中音域の変動幅が大きかった。 周波数別ではとくに250Hz, 500Hz, そして1000Hzの聴力変動が大きかった。 鼓室内薬剤注入療法のめまいに対する治療成績と聴力レベルとの間に正の相関が認められ, 初期例でめまいの治療成績がより良好であることが確認された。
  • 草野 英昭, 立木 孝, 村井 和夫, 山崎 一春
    1996 年 39 巻 2 号 p. 178-183
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    急性高度難聴調査研究班により設けられたムンプス難聴の診断基準に照らし合わせ, 当科にて経験したムンプス難聴68例 (一側性65例, 両側性3例) を再検討した。
    1) 診断基準に照らし合わせた場合, 確実例39例, 準確実例1例, 参考例28例であった。
    2) 本症の対象は幼児・学童が多いので難聴に関する問診が不確かであることは避けられず, 高度難聴の場合にはムンプスIgMを検査することが有用である。
    3) 9例においては初診時の聴力検査後1日から7日で聾にいたる急速進行性の難聴であった。 全例で聾または残聴を認める程度の高度難聴で治療に反応した例はなかった。 従って難聴の発症様式と聴力予後の点からみて突発性難聴とは明らかに異なり, 2疾患の病態は異なるものと考えられる。
  • 柳田 則之, 中島 務, 設楽 哲也, 大野 良之, 玉腰 暁子
    1996 年 39 巻 2 号 p. 184-188
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    厚生省特定疾患急性高度難聴調査研究班では, 難病の疫学調査研究班と共同で1993年 (平成5年) 1年間における突発性難聴 (突難), 特発性両側性感音難聴, ムンプス難聴, 免疫異常に伴う難聴の4疾患について全国疫学調査を施行した。
    第一次調査では1年間の受療患者数を推計した。 その結果, 突難24,000名 (95%信頼区間21,000-27,000), 特難700名 (500-900), ムンプス難聴400名 (300-500), 免疫異常に伴う難聴200名 (100-300) が得られた。
    1987年の全国疫学調査に比べて突難は増加, 特難はやや減少, ムンプス難聴はやや増加の傾向を認めた。 免疫異常に伴う難聴については今回が初めての調査である。
  • 森満 保, 牛迫 泰明, 鳥原 康治, 定永 正之
    1996 年 39 巻 2 号 p. 189-194
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    陰イオン性血管造影剤による突発性難聴の治療成績が, 治療的診断に資するに値するものであること, その作用部位は蝸牛血管条血管内壁以外にありえないことから, 本症の病変部位は血管条血管内皮細胞と推論した。 陽性荷電金コロイドを用いた電顕的観察で, 内皮細胞内腔面にシアル酸糖鎖による, 基底膜にピアルロン酸糖鎖による陰性荷電部位を認めた。 また血管条構成細胞は陽性荷電していることから, 血管条にionic charge barrierがありEPを維持しているものと推定した。 突発性難聴はこのバリア-破綻によるEP低下で発症し, 血管条が能動輸送能を残しており, 内腔面が受動的に陽性荷電すると陰性荷電造影剤はイオン性に付着し, 治療効果を発揮するものと推論した。 すなわち突発性難聴は血管条血管内皮細胞の糖鎖代謝障害による関門破綻によるものと結論した。
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