AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
Print ISSN : 0303-8106
ISSN-L : 0303-8106
耳音響放射と純音聴力閾値との関係
坂下 哲史久保 武志楠木 誠上野 慶太久内 一史中井 義明
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 39 巻 2 号 p. 143-150

詳細
抄録

誘発耳音響放射 (EOAE) のFiltered Echo Power (FEP) と歪成分耳音響放射 (DPOAE) のDPレベル (DPL) の検出率およびそれらの値を指標として, 内耳性難聴耳78耳を対象に純音聴力検査上の対応する周波数およびそれより高音域における聴力閾値との関連について検討した。 その結果, 検出率や対応する周波数の聴力閾値との相関の高さおよび検出できる聴力の範囲の広さよりDPLの方がFEPよりも聴力閾値との検討には有用性が高いと思われた。 またFEP・DPLともにより高音域の聴力の状態, すなわち, 蝸牛のより基底部分の傷害の程度や範囲によって影響を受けること, および高音域よりは中音域において蝸牛傷害の影響を受けやすいことが示唆された。 今後はこのような耳音響放射の特性を考慮に入れた上で, 純音聴力閾値との関連をさらに詳細に検討していく必要があると考えられた。

著者関連情報
© 日本聴覚医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top