AUDIOLOGY JAPAN
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突発性難聴の病変部位と病態について
森満 保牛迫 泰明鳥原 康治定永 正之
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1996 年 39 巻 2 号 p. 189-194

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抄録

陰イオン性血管造影剤による突発性難聴の治療成績が, 治療的診断に資するに値するものであること, その作用部位は蝸牛血管条血管内壁以外にありえないことから, 本症の病変部位は血管条血管内皮細胞と推論した。 陽性荷電金コロイドを用いた電顕的観察で, 内皮細胞内腔面にシアル酸糖鎖による, 基底膜にピアルロン酸糖鎖による陰性荷電部位を認めた。 また血管条構成細胞は陽性荷電していることから, 血管条にionic charge barrierがありEPを維持しているものと推定した。 突発性難聴はこのバリア-破綻によるEP低下で発症し, 血管条が能動輸送能を残しており, 内腔面が受動的に陽性荷電すると陰性荷電造影剤はイオン性に付着し, 治療効果を発揮するものと推論した。 すなわち突発性難聴は血管条血管内皮細胞の糖鎖代謝障害による関門破綻によるものと結論した。

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