当科補聴器外来を受診した, 良聴側の平均聴力レベルが40dB以内の軽度難聴者67名を対象とした。 聴力, 年齢, 職業の有無, 補聴器に対する意欲の有無などの背景因子と補聴器装用の可否について検討したところ, 職業を持ち, 意欲のある患者の場合は装用に至る率が高く, こういった患者では積極的に補聴器適合を行うことは有意義なことであると考えられた。 最終的に適合した補聴器の特性を検討したところ, 最大出力音圧レベルと平均聴力レベルの間には有意な相関が見られたが, 不快閾値との間には相関は認められなかった。 音響利得と平均聴力レベルとの間には有意な相関が見られ, 多くの例で音響利得はハーフゲインを下回るものであった。 平均聴力レベル10dBごとの最大出力音圧レベルの平均値は, 諸家の報告とほぼ一致するものであった。