2000 年 43 巻 2 号 p. 112-117
突発性難聴および低音障害型急性感音難聴における内耳病態を機能的に追究するために, それらの患耳から測定した誘発耳音響放射の入出力曲線を検討した。 検出閾値の上昇と共に飽和レベルが低下した。 2型の低下パターン, すなわち截頭型と平行移動型が認められ, 前者は高・中音域障害の突発性難聴耳に多く, 後者は低音障害耳に多かった。 平行移動型に回復例が多かったが, 飽和パターンは予後の推測因子として十分とはいえなかった。 誘発耳音響放射の入出力曲線の飽和レベルは外有毛細胞に連係した能動的基底板振動を表現しており, 感音難聴耳で入出力曲線の変化の推移を観察することにより蝸牛内障害の細別診断が可能である。