AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
Print ISSN : 0303-8106
ISSN-L : 0303-8106
急性高度難聴症例の人工内耳成績
東野 哲也竹中 美香牛迫 泰明小宗 静男
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 43 巻 2 号 p. 118-123

詳細
抄録

急性高度難聴により失聴に至った人工内耳症例の原因疾患と頻度及び, その人工内耳成績を検討した。 宮崎医科大学耳鼻咽喉科で人工内耳手術を施行した言語習得後失聴成人例74例75耳のうち, 発症前日まで難聴のない耳に突然または7日以内に聾に至った急性高度難聴例は13耳であった。 急性高度難聴の原因疾患としては, 突発性難聴4例, ムンプス2例, 髄膜炎2例, 自殺企図によるブロム酸中毒2例, 急性腎不全1例, 頭部外傷1例, 原因不明1例であった。 これら例の人工内耳成績は, 難聴発症時に腎不全を伴ったブロム酸中毒例と急性腎不全症例を除いて非急性発症の対照群に比べて良好で, なかでも突発性難聴の4耳は失聴期間に関わらず極めて良好であった。 この結果は, 急性高度難聴の原因疾患は多様であっても, 後迷路機能は比較的保たれることを示している。 広範なコルチ器の崩壊に続く神経細胞障害の程度は比較的軽いことが示唆された。

著者関連情報
© 日本聴覚医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top