AUDIOLOGY JAPAN
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補聴器耳型採取時の耳科副損傷 -第2報-
杉内 智子調所 廣之
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2002 年 45 巻 1 号 p. 75-81

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抄録

補聴器の耳型採取の副損傷について, 採取件数が増加している現在の動向を調査するため, 1986年のアンケート調査に続き, 398医療施設と補聴器販売店協会加盟店815店を対象に同様の調査を行った。
その結果, 医療施設での回収率は63.3%, 副損傷の経験があったのは30.0%であった。 これら損傷では印象剤 (耳型) の耳内異物が半数以上を占め, 異物摘出に全身麻酔下での手術を要したものもみられた。 さらに今回は, 中耳または内耳損傷例と鼓膜穿孔例が新たに加わり, 処置については異物摘出時の取り残し例, 摘出難渋例および事後処理問題例がみられた。 異物摘出には採取前の耳内所見が手がかりともなるため, 注意点が確認できる事前の耳鼻咽喉科受診, そして補聴器店と耳鼻咽喉科の連携が重要と思われる。 耳型採取は副損傷の危険があり, 耳鼻咽喉科医の指導のもとで十分に注意して行わなければならない。

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