北海道内の人工内耳装用児を取り巻く教育環境の実態を把握し, 今後の課題について検討する目的で, 聾学校・難聴学級・難聴通級指導教室学級担任の質問紙調査を実施した。調査の結果から, 人工内耳装用児が在籍する聾学校と医療機関との連携については, 術前からの定期的なカンファレンスの実施が機能していると考えられた。一方で, 難聴学級・難聴通級指導教室と医療機関との連携は不十分であることが明らかになった。また, 装用児の就学に関して, 聾学校学級担任・難聴学級・難聴通級指導教室担当教員と医療機関の連携が必須であり, 就学先の環境整備が人工内耳装用児の通常学級就学の重要な要件であると考えられた。今後, 聾学校との連携を継続するとともに, 難聴学級・難聴通級指導教室を対象に連携を拡大し, 環境整備を含めた装用児の支援体制の確立に取り組む必要があると考えられた。