応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌
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【総説-糖質関連酵素化学シンポジウム-】 寒天分解酵素および寒天オリゴ糖の機能性
有賀 修岡本 直樹井上 貴由久保 元森山 洋憲
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2012 年 2 巻 2 号 p. 142-146

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抄録

紅藻類が生産する多糖類の中でアガロースとアガロペクチンを主成分とする寒天はゲル化剤などとして食品に利用されるだけでなく,DNAや生体関連物質の分離に使われる分子生物学には欠くことのできない材料である。アガロースはガラクトースとアンヒドロガラクトースがβ-1,4およびα-1,3結合で交互に結合してできる多糖類である。したがって,アガロースを分解できる寒天分解細菌はβ-アガラーゼとα-アガラーゼを生産しアガロースを唯一の炭素源として増殖できるが,その多くは海洋環境から単離されてきた。さらに,寒天分解酵素の精製や遺伝子のクローニングが行われ,遺伝子の解析も進んできた。筆者らは非海洋性の寒天分解菌を単離し,2つのβ-アガラーゼ遺伝子のクローニングに成功し,ネオアガロオリゴ糖の生産が可能となった。菌体破壊液からのα-アガラーゼの精製を行い,諸特性を調べている。寒天オリゴ糖の研究は少ないが,抗酸化作用,ビフィズス菌の増殖促進効果なども報告されてきた。この総説では寒天分解酵素や寒天オリゴ糖の最近の研究の紹介を行う。

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© 2012 一般社団法人 日本応用糖質科学会
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