カラメル化糖とは,フルクトース(Fru)の加熱に伴う脱水縮合により生じる五員環構造のfructofuranose(Fruf)や六員環構造のfructopyranose(Frup)をもつ二糖及び,さらに脱水縮合して生じるdi-fructose dianhydride(DFA)やdi-heterolevulosan(DHL)等のジアンヒドロ糖である.植物の貯蔵多糖であるイヌリンやレバンがβ結合のFrufに限定されるのに対し,カラメル化糖はFrufとFrupがαもしくはβ結合にて様々な結合位置で重合した多様な異性体の混合物である.我々は,主要なカラメル化糖であるDFA I(α-Fruf-1,2′:2,1′-β-Fruf)及び,DFA III(α-Fruf-1,2′:2,3′-β-Fruf)の腸内細菌が持つ分解酵素の同定と分解代謝経路の解明に成功した.本総説では,ビフィズス菌由来の糖質加水分解酵素(GH)ファミリー172(GH172)に分類されるDFA I分解酵素と,Blautia属細菌由来のGH91 DFA III分解酵素の機能解析から見えてきた腸内細菌によるカラメル化糖の資化戦略を紹介する.
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