2022 年 10 巻 p. 17-26
2022年1月現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は、日本ではいわゆる第6波に突入している。感染症の流行を制御するのに効果的な方法として、ワクチン介入が挙げられる。そこで、流行の最も簡単な数理モデルの一つであるSIR モデルにワクチン介入の効果を導入し、介入スピードを変えてシミュレーションを行い、介入スピードが感染の抑制にどのような影響を及ぼすのかについて考察した。総人口を約830,000人とし、ワクチン介入がない場合と、毎週2,500から80,000人にワクチン接種を行う場合6通り、計7通りのシミュレーションを行った。ワクチン介入スピードが小さい場合には流行を抑制する効果も小さいという結果となり、ある程度以上のスピードでワクチン供給を行わないと効果が弱いことがわかった。流行が拡大する前にワクチン投与を行い、集団免疫を達成する必要があるということである。