大阪物療大学紀要
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IVRにおける術者の白内障リスクの検討
今井 信也赤羽 学木村 真三丹喜 信義溜池 数磨石山 成浩今村 知明
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2017 年 5 巻 p. 27-31

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抄録

2011年、国際放射線防護委員会(ICRP)は、眼の水晶体の等価線量に対して「5 年間の平均が 20mSv/年、いかなる1年間でも50mSv/年を超えてはいけない」との勧告を示した。この根拠は、最近の疫学調査等の結果を踏まえ、白内障のしきい線量が0.5Gy であると考えられることにある。医療従事者の中には、年間推定線量が50mSvを超える者がいるため、今後の被ばく軽減に向けた検討が必要と考える。 本研究は、術者の水晶体への被ばくが多いとされるオーバーテーブル型X線TV装置を用いてTACEの術式で人体ファントムに25分間の模擬照射を行い、天井から床まで鉛直方向にガラス線量計素子を取り付けて術者立ち位置での空間線量を測定した。 術者の立ち位置での空間線量は、成人の目の高さ付近である130cm~160cmをピークに1.40~1.45mGyと非常に高い値を示した。これはICRPの勧告である20mSv/年の約14分の1の線量に相当し、年間の検査実施回数によっては白内障のリスクが懸念される。

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