2023 年 12 巻 1 号 p. 17-31
本研究では,横浜市西区・中区における2019年と2022年の4月および5月の土日祝日の来訪者のGPSデータを用いて,横浜観光エリアの観光行動の分析を行った.分析対象エリアを観光エリアごとに18に分割し,訪問者の位置情報データからエリア間の遷移データ作成し,k-medoids法および非対称性を考慮したクラスター分析法を用いて分析した.その結果,k-medoids法の分析では,2019年と2022年共に,隣接エリアを中心としたクラスター構造が得られた.非対称性を考慮した分析では,2019年のデータにおいては,比較的近接するエリアによってクラスターが形成されたのに対し,2022年のデータにおいては,新港を中心としたみなとみらいエリアから山下公園周辺までの幅広いエリアで構成される特徴的なクラスターが出現し,観光行動の違いがみられる結果となった.加えて,データの非対称性を用いた分析を行うことにより,エリアの流出入を考慮した観光行動の方向性に基づく解釈が可能となる結果となった.