データ分析の理論と応用
Online ISSN : 2434-3382
Print ISSN : 2186-4195
最新号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
論文
  • 志村 重輔, 林 沙織, 岡安 悟志, 板垣 昌幸, 林 賢一
    原稿種別: 論 文
    2023 年 12 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 2023/09/01
    公開日: 2023/11/02
    ジャーナル フリー HTML

    リチウムイオン電池の内部で生じる短絡は,発火原因の一つとして知られている.微小な内部短絡を検出できることは早期な異常の発見に繋がり,リチウムイオン電池を使用する際の安全性向上に資する.本研究の目的は,高い安全性が求められる電動航空機への適用を視野に,リチウムイオン電池の微小内部短絡を検出するための統計的解析の枠組みを検討することである.本研究ではまず,新品のリチウムイオン電池(正常電池)と,意図的に劣化させて内部短絡を生じさせやすくした同型リチウムイオン電池(異常電池)とを用意した.次に,内部短絡が生じた際に特有の電圧の時系列変化を捉える4つの特徴量を設計した.劣化電池からは大きな特徴量の値が得られ,一方で新品電池からはそのような値は得られなかった.このことから,新品電池を正常な標本とし,劣化電池の異常をk近傍法により検出することを試みた.その結果,本研究で提案する方法により,微小内部短絡に由来する異常な電圧の振る舞いを記述する特徴量に基づいてリチウムイオン電池の微小内部短絡を検出できる可能性が示された.

  • —横浜観光エリアにおける観光行動の把握—
    横山 暁, 有馬 貴之, 冨田 裕也
    原稿種別: 論 文
    2023 年 12 巻 1 号 p. 17-31
    発行日: 2023/09/01
    公開日: 2023/11/02
    ジャーナル フリー HTML

    本研究では,横浜市西区・中区における2019年と2022年の4月および5月の土日祝日の来訪者のGPSデータを用いて,横浜観光エリアの観光行動の分析を行った.分析対象エリアを観光エリアごとに18に分割し,訪問者の位置情報データからエリア間の遷移データ作成し,k-medoids法および非対称性を考慮したクラスター分析法を用いて分析した.その結果,k-medoids法の分析では,2019年と2022年共に,隣接エリアを中心としたクラスター構造が得られた.非対称性を考慮した分析では,2019年のデータにおいては,比較的近接するエリアによってクラスターが形成されたのに対し,2022年のデータにおいては,新港を中心としたみなとみらいエリアから山下公園周辺までの幅広いエリアで構成される特徴的なクラスターが出現し,観光行動の違いがみられる結果となった.加えて,データの非対称性を用いた分析を行うことにより,エリアの流出入を考慮した観光行動の方向性に基づく解釈が可能となる結果となった.

  • 柳 燁佳, 金 明哲
    原稿種別: 論 文
    2023 年 12 巻 1 号 p. 33-46
    発行日: 2023/09/01
    公開日: 2023/11/02
    ジャーナル フリー HTML

    日本語文章を対象とした著者識別に関しては,これ迄提案されてきた特徴量の殆どが文字や単語など文を構成する言語単位に基づいている.文そのものの構造を意識して特徴量化したものが少なく,その実用性も比較的低いと報告されている.本研究では,依存構造にしたがって,文節単位に分解された文をツリー状に展開してから,根に位置する文節とそれと直接につながっている文節を核文節と定義して,それらの分節から抽出したパターンを新しい特徴量NBS(Nucleus Bunsetsu)として提案する.提案の有効性を実証するため,10人の小説家の作品を用いてコーパスを構築し,2群判別と10群判別のシミュレーションを行った.その結果,2群判別の場合,NBSのパフォーマンスが比較対象である文節パターンB型に肉薄し,10群判別では,正解率において2ポイントの差をつけて優位性が示された.両者を結合して用いれば,より優れたパフォーマンスが達成されたことから,文の構造にも著者の特徴が顕著に現れていると結論づけた.

feedback
Top