データ分析の理論と応用
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Print ISSN : 2186-4195
論文
k 近傍法を用いたリチウムイオン電池の微小内部短絡検出
志村 重輔林 沙織岡安 悟志板垣 昌幸林 賢一
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2023 年 12 巻 1 号 p. 1-15

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抄録

リチウムイオン電池の内部で生じる短絡は,発火原因の一つとして知られている.微小な内部短絡を検出できることは早期な異常の発見に繋がり,リチウムイオン電池を使用する際の安全性向上に資する.本研究の目的は,高い安全性が求められる電動航空機への適用を視野に,リチウムイオン電池の微小内部短絡を検出するための統計的解析の枠組みを検討することである.本研究ではまず,新品のリチウムイオン電池(正常電池)と,意図的に劣化させて内部短絡を生じさせやすくした同型リチウムイオン電池(異常電池)とを用意した.次に,内部短絡が生じた際に特有の電圧の時系列変化を捉える4つの特徴量を設計した.劣化電池からは大きな特徴量の値が得られ,一方で新品電池からはそのような値は得られなかった.このことから,新品電池を正常な標本とし,劣化電池の異常をk近傍法により検出することを試みた.その結果,本研究で提案する方法により,微小内部短絡に由来する異常な電圧の振る舞いを記述する特徴量に基づいてリチウムイオン電池の微小内部短絡を検出できる可能性が示された.

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