2012 年 2 巻 1 号 p. 53-68
ユーザのWEB 検索やコンテンツ閲覧履歴等を利用した情報推薦に関する技術が数多く研究されている.このような技術では,一定量の履歴が蓄積されるまで推薦精度が向上しないCold-start という問題がある.特に飲食店等のスポットの推薦に目的を絞ったスポット情報閲覧履歴の分析では,一般のWEB 検索などに比べ利用頻度が少ないため履歴の蓄積が進まず推薦精度が向上し難い.本論文では,スマートフォンの普及等により,ライフログの一つである継続的なGPS 移動履歴の収集が容易となっていることを利用して,スポットの推薦精度を向上させる手法を提案する.提案法では,GPS 移動履歴からユーザ行動範囲を抽出し,インターネット等からユーザ行動範囲のスポットのデータを収集し基準となる分布を算出する.統計的仮説検定の考え方を利用し,この分布との比較により,スポット情報閲覧履歴と,GPS 移動履歴を特徴化し,複数の検定結果を組み合わせるStouffer’s Z-score method により統合し解析する.飲食店推薦を対象とした実環境での実験を行い提案法の有効性を示した.