抄録
米の消費量減退に歯止めがかからない今, 通常のご飯以外への用途拡大が一つの方策である。菓子, パン, 麺等, 各方面で種々の試みがなされているが, いずれも米を製粉してからの加工食品である。それぞれの用途に対する適当な加工特性があると考えられる。そこで, 本研究では米粉の加工品質を糊化特性で評価することとした。測定器としては最近普及が進んでいるラピッドビスコアナライザー (RVA) を使用した。
まず, 本機に定められた測定条件の必要精度を検討するために, 各条件を変数とした測定を行った。実験条件として (1) 精米率, (2) 米の供試量, (3) 水の量, (4) 測定直前の攪拝回数, (5) 測定前の浸漬時間, (6) 製粉後の経日変化を設定した。測定値の変化に対するそれらの影響が概ね把握できたので, 測定時の各種設定値の許容誤差を決めることができた。
次に, 加湿熱風装置を利用して, 種々の条件で白米を熱処理することによる糊化特性の変化を検討した。処理条件として, 熱風温度, 熱風への加水量, 原料白米の浸漬時間を数段階に設定した。測定項目は糊化特性での最高粘度, 最低粘度, 最終粘度, ブレークダウン, セットバック, 糊化温度である。通常, 糊化特性はご飯としての食味に関連して測定され, 各指標値の評価の検討はなされている。しかし, 米粉の加工特性を検討するための手順はわかっていない。
加湿熱風装置を使用して, 高温で米粉を処理するとごく短時間で, 糊化特性が大きく変化することがわかった。今後, 米粉の各用途毎に適した糊化特性を経験的に決定し, その特性を実現する加湿熱風処理の条件を求める研究を進める。また, 糊化特性以外の特性も各用途によって検討を行う予定である。